
プロジェクト管理は納期とスケジュール、各種資源(ヒト、モノ、カネ、情報、時間等)に関する負荷・割当などを総合的に且つ統括管理にポイントをおいた管理手法の一つといえます。例えば、2020年に開催する東京オリンピックにおけるメインスタジアムの建設はまさにビッグプロジェクトの一環として工程が進捗していますが、完成に向けてプロジェクト管理手法としてこのCPMの考え方を参考にしていると思われます。筆者も過去に大小様々な業務システムの開発に携わった時、このCPM手法を用いてプロジェクトを進めた記憶があります。プロジェクトが大きくなればなるほどCPMの中にCPMが複数発生することもあります。プロジェクトには数多くのタスクが発生します。そのタスクは親子関係にあって複雑なタスク・ネットワークが発生してきます。単なるタスクを直列的に逐次的に進めるとなれば、各種資源について考えれると様々なムダなどが生じ納期の効率的短縮などは到底望めません。
この構造図はベースであって、とても重要となってきます。あとあと最短及び最長の時間を算出する場面がでてきます。構造図がなければ、これ以降の作業は不可能です。作業の進め方を述べておきます。
❶ワーク・ブレークダウン構造図は見た目でいろいろな関係性を把握できる方法を選ぶべきです。
構造図の表現形式 | ★ツリー形式 |
★表敬式 | |
★アウトライン形式(箇条書き形式ともいわれています) |
❷構造図を元に更に各アクティビティの関係性すなわち依存関係を明確に確立させることが重要です。
❸ネットワークを描く作業を行います
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❹各アクティビティにおける完了させるための作業時間とコスト面を見積ります。この作業は誰がやるのか等が問題になってきます。経験、技量、リテラシー等によって左右されてきます。
❺クリティカルパスを識別します。識別する方法としてはネットワーク図をよく観察し最も長い経路を見出す方法がよく利用されるやり方です。このような作業を行った上で最早・最遅をポイントにおいて最終完了時期、及びコスト面を計算する手法がCPMといわれる手法です。上図の赤線の部分が要する期間ということになります。
❻クリティカルパス図をタイミンよく更新して進捗状況を分析することが肝要です。
【CPM誕生の背景】
「ポラリス」というミサイルを開発していた時に当初見積もったスケジュールに大幅な遅れが生じて頭を痛めていましたところに、CPM手法というよりPERT手法が解決策として浮上してきたという背景があります。1950年代後半のことでした。また、デュポンにおいてもターンアラウンドの遅れが発生して大問題となったことがあり、急遽、CPM手法が提案され受け入れた経緯がありました。これらの解決策として講じられたのはプロジェクトを何千ものあるといわれるタスクに分割した上で各タスク間のシークエンスを矢印を用いて結びつける作業を行いました。シークエンスができあがると、各タスクについての期間と重要度を検討して解決策を講じて納期遅れを解消したということが普及の契機になったようです。
【メリット(評判)】
★プロジェクトに遅れが発生すると、ネットワーク図からプロジェクト完了に至るまでに大きなインパクトを与えるタスクが何であるかがきちんと把握できることにあります。
★CPMによってプロジェクト・ステータスが時々刻々と把握ができていろいろな手が打てることにあります。
★リソース(ヒト、モノ、カネ、情報、時間等)における制約が明確に見えることから平準化及び割当が容易に可能となることです。ここで留意することはリソース平準化によって必要なリソースが必要な時、すなわち肝心な時に活用ができないこと(リソース/ボトルネック)が生じてスケジュールに遅れが発生することがあることに留意することです。
★計画と実績の差異発生の原因とその影響を即座に分析すること(差異分析)が容易となり、次の策を講じることが可能となります。