聴力低下は補聴器それとも集音器 充電方法は 雑音等総合的課題

筆者の周りにも聞こえが悪くなり、補聴器を選ぶには何を基準に選べばいいのという相談を受けることが多くなりました。筆者自身は中等度の難聴で現在は耳掛け式補聴器をしています。そこで筆者の経験と実績をベースに「聴力の低下を補聴器または集音器で補う?」というテーマで記事を書いています。

補聴器を近頃聞こえが悪くなったようで、テレビの音声がいつもよりボリュームを知らず知らず上げて周りの家族から「どうしたの・・・?」と聞かれることがあるようであれば要注意です。聞こえが悪くなったことを一般的に難聴といわれ、悪くなった要因も様々、かつ、聞こえの悪さレベルも軽度から重度まで実に様々です。そこで、まずはじめに聞こえ方をチェックすることが肝要です。

聞こえ方の症状チェック

冷静になって自分の聞こえ方をよく分析します。そのチェック・リストに10項目をピックアップします。

様々な音が響いて聞き取りにくくなった

電話が呼出音やインターフォンの呼出音に気づかないことが多くなった

小さい話声やささやく声が聞こえにくくなった

聞き返すことが増えてきた

テレビの音声が大きくなり周りの人から「うるさい」と言われることが多くなった

高い音や低い音が聞き取れなくなってきた

大きい音が聞きづらい

音が二重、三重に重なったように聞こえてしまう

とにかく違和感を感じて仕方がない

耳鳴りがしていい気持ちがしない

これらのいずれかに該当した場合は難聴の域に相当す以下のることに要注意です。と同時に、聴力検査をすることを薦めます。

聞こえ方のレベル

聞こえのレベルは医学的(WHOによる分類)には4つのレベルに区分されています。

難聴レベル区分と適合機器

一般的には、音の大きさ40dbを基準しているケースが多いようです。

音の大きさによる難聴低度 適合機器
40db以下の軽度難聴 集音器
40db~の中等・高度難聴 補聴器

聞こえのレベルに関して自己判断せずに、近隣の耳鼻咽喉科に出向いて聴力検査を行うようにします。そのうえで、耳鼻咽喉科の医者から何らかの助言がありますので、よく聞いて対処策を決めることが肝要です。

聞こえのレベルは耳の構造に起因しています。そこで、難聴の種類を列挙します。

難聴の種類

耳は音を伝える役割を果たす外耳と中耳、音を感じて脳に伝える役割を果たす内耳の3つから成り立っています。

 

外耳と中耳で障害が発生した場合は「伝音性難聴」、内耳もしくは脳に障害が発生した場合は「感音性難聴」に大きく類別されます。以下の表にまとめていますので、参照しながらお医者さんによく相談して下さい。

難 聴 の 種 類
伝音性難聴 外耳、中耳の障害による難聴で、空気振動が十分に伝わらない状態になっており、耳垢栓塞・中耳の炎症・耳小骨の異常などで起こります。特徴としては、小さな音が聞こえにくいだけで、言葉の明瞭さにはあまり影響はあたえません。
感音性難聴 内耳、聴神経、脳の障害による難聴で、『音が聞こえにくい』だけでなく、音が歪んだり響いたり、言葉がはっきり聞こえません。治療に 反応する疾患は少ないのが特徴です。突発性難聴・メニエール病・騒音性難聴・老人性難聴・聴神経腫瘍などが含まれます。
混合性難聴 伝音性難聴と感音性難聴の両方の原因をもつ難聴です。
後迷路性難聴 感音性難聴のうち特に蝸牛神経~脳の障害による難聴がこれに当たります。
先天性聴覚障害 生まれつき聞えに障害を持っている場合で、言語獲得以前に聞こえの障害があるため、発音や会話が困難となります。しかし、早くからの適切な教育によって言語の習得は可能で、読み書きは日常的にできるようになることが多いようです。
後天性聴覚障害 生まれた後に障害を受けた場合で、幼児期以降(言語獲得後)の病気や事故などによる聞こえの障害であり、明瞭な発音や言葉の理解に関しては問題が少ない。
老人性聴覚障害 加齢変化に伴う難聴で、感音性難聴に含まれます。内耳・聴神経だけでなく、加齢とともに鼓膜や耳小骨なども老化していきますので、障害が広範囲にわたることが特徴です。

※難聴を引き起こす病気は脳・神経からの病気、心因性の症状からのもの、薬の副作用からくるものというように実に様々ですので、病気についても、お医者さんとよく相談することを薦めます。

様々な要因で聴覚の低下が発生した場合、聴力を補助してくれる装置に頼ることになります。

聴力補助装置(人工聴覚器、集音器/補聴器)について

聴力を補助してくれる装置として、よく知られているのが集音器補聴器ですが、それ以外には人工聴覚器があります。先述した耳の構造に合わせて人工中耳、人工内耳などが人工聴覚器として役割を担っています。

人工補聴器について

人工聴覚器は手術後ある程度の聴力が回復することが可能です。人工中耳であれば、耳小骨にダイレクトに音の振動を与えて聴力を回復させる仕組みであるため、うるさい場所でも自然な形で少ないゆがみで、かつ明瞭に音を聞くことが可能となります。人工内耳の場合は内耳の代替装置になるため、蝸牛細胞に電気信号で刺激する仕組みをとります。したがって、両耳で補聴器をしても効果がない感音性における高度の難聴ケースが対象となります。

人工中耳

中耳の核である耳小骨を直接音による振動させて内耳に伝える機能を持たせることで聞こえを補うようにしたものです。こうすることで、騒音の下でもゆがみの少ない明瞭な音を聞くことが可能となります。より自然なスタイルにしようとする機能である程度の回復をします。

人工内耳

文字通り内耳の代替えをするもので、補聴器や人工中耳と違って、直接に蝸牛の細胞に電気で刺激を与えて聞こえを復帰させようとするもので、これは医者とよく相談することが肝要です。人工内耳の対象は両耳とも補聴器を使用してもほとんど効果が見られない難聴の人がこれに相当します。つまり、感音性の難聴で高度な難聴の人が対象です。たとえば、補聴器を使ってある程度聞こえる人は人工内耳の対象とはなりません。

集音器と補聴器について

集音器補聴器の違いは医療機器か否かによって変わってきます。

集音器 ・・・ 医療機器ではない。音響機器として分類される類のものです。

補聴器 ・・・ 医療機器として認定を受けたもの

集音器

身の回りの音を大きくすることが機能の核であることに留意することです。つまり、日常生活の中における様々な場面における聞こえにくさを助ける役目を果たします。ということは、難聴の程度は軽度の範囲の人が対象です。40デシベル以上の中程度の難聴の人には不向きと言えます。筆者は中程度難聴ですが、集音器を試行しましたが、ほとんど聞こえはダメでしたし、お店の担当者も不向きだとおっしゃっていました。納得です。

集音器のタイプ
集音器のタイプ
耳穴式 耳の穴に装着する方式。目立ちにくく、音の方向もわかり、自然な形に近い。

耳掛け式 耳の上にかける方式で、耳穴式に比べて機能が多い。

ポケット式 ポケット等に入れて、イヤホンで聞く方式。手元で操作ができるメリットがあります。

集音器は軽度の難聴を対象にして、かつ、家電機器として類別されているため、専門医のカウンセリングや細かなフィッティングは行うことはできません。これはとても大きなデメリットになってしまいますので、注意が肝要です。その代わり、集音器は様々なタイプが用意されているため、自分の好みや使いたいシーンを思い描いて購入することが出来ます。

価格ゾーンは比較的に買い求めやすい価格に設定されているようです。2~3万円台が多く、音響メーカーから市場に出回っています。

補聴器

補聴器集音器と違って厚生労働省が定めた基準を満たし、医療機器として認定を受けています。そのため、補聴器を販売して店には必ず認定補聴器技能者がいます。

フィッティング

補聴器を買い求める場合は、聴力検査、検査結果に基づいた音の様々な調整(増幅、高低、ボリューム等)が必要となってきます。このように細かな調整を行うため、聞こえに応じたフィッティングができ、聞こえは自然に近い状態に近づいていきます。このフィッティングは購入後も何度でできるようになっていて、筆者も何度も販売店に伺います。

今では、パソコンが普及されていることからいるきめ細かい調整が可能となっている補聴器もあります。この辺りは技術の進化とともに補聴器も進化していくことでしょう。

補聴器のタイプ

集音器と同様に、耳穴式、耳掛け式、ポケット式の3種が殆どです。

耳穴式 運動・スポーツをする人向きで、機器は外耳内に装着するため汗や湿気には十分注意。聞こえ方は自然な感じです。
耳掛け式 通常の生活する人に向いています。機器は外にあるものの、汗や湿気には注意。耳穴式に比べて機能は多い。
ポケット式 置く場所によって騒音も変わってきますし、よく動く人には不向きです。機能とキャパシティは一番といえそう。

価格

集音器に比べてかなり高額なものが多く、平均して10~20万円の補聴器が出回っているようです。補聴器は医療機器として認定を受けており、難聴が身体障碍者として市に認可を受けることが出来れば、市によっては補助を受けられるシステムもありますので、念のために問い合わせて下さい。

老人性聴覚障害

加齢変化に伴う難聴で、感音性難聴に含まれます。内耳・聴神経だけでなく、加齢とともに鼓膜や耳小骨なども老化していきますので、障害が広範囲にわたることが特徴です。老人性難聴の場合は、筆者の知る限り、加齢によることから身体障碍者として認定されません。とはいえ、個人差があります故、医師の診察を受けるべきです。適宜なアドバイスを受けて、補聴器または集音器を選択することを薦めます。筆者の知合いの方は加齢で聞こえが悪くなり、聞き返すことが多くなり、結局、10万円程度の補聴器をきめ細かくフィッティングした上で装着して、日常生活を送っているようです。

充電方法と雑音

充   電  
補聴器 空気電池に使っていて、利用法によって差異はありますが、大体10日から2週間程度で交換します。
集音器 圧倒的に充電器による充電方式を採用、長く利用する場合に難点がある。
雑   音
補聴器 ハード的にもソフト的にもより自然な環境に近づける機能があり調整がかのうです。補聴器はその場に存在する音を大きくして聞こえるようにします。 そのため、補聴器をしていないと聞こえない生活音が補聴器によって聞こえるようになり、雑音と感じる場合もあります。
集音器 残念ながら雑音をカットすることはできません。独自の雑音除去システムで、騒音を低減させ人の声がはっきりと聞こえる機能も出て来ています。他にもスマートフォンと連携させ、専用アプリの設定画面で自動イコライジング(自分の聞こえの好みに合った音量を自動調整)する機能もあります。

 

総合的課題のまとめ

補聴器は、聞こえが悪くなってきた人や難聴の人が使用することを前提に医療機器として、開発、製造、販売されています。そのため、周りがうるさい中でも言葉を聞き取りやすくしたり、大きな音を出しすぎないようにしたりなど安全に使用するために様々な機能が搭載されています。対して集音器は、聞こえが悪くなってきた人や難聴者を対象として開発・製造されているものではありません。集音器を使って、いきなり大きな音を聞いてしまい、耳を傷めてしまったということにもなりかねないのです。

補聴器と集音器をほとんど同じものだと思っている人は、集音器を使っても効果が得られなかった場合に「補聴器も効果が出ない」と判断してしまう恐れがあります。きちんと補聴器を使っていれば聞こえを改善できる可能性があったにも関わらず、その可能性をつぶしてしまうかもしれないのです。長い間補聴器を使い続けている筆者は痛感します。

集音器は、補聴器と比較すると、非常に価格が安く手軽に手にすることが出来ます。 使う目的によっては、集音器のほうが合っている人ももちろんいると思います。 しかし、最も大事なことは、両者の違いを理解した上で購入・使用することではないかと思います。 補聴器は、難聴者を対象に、個人の聞こえに合わせてつくり上げていく医療機器。対して集音器は一般大衆向けの音を集める家電機器。この違いを念頭に入れておくことが肝要です。