一昔前に工場の自動化及び省力化の推進役を果たしたのが ファクタリ・オートメーションという技術で、ブルーカラーを対象にしております。これにより、工場部門は飛躍的に生産性が向上しました。これに比べ、事務部門いわばバックオフィス部門の生産性向上には遅れていましたが、2016年辺りからロボティック・プロセス・オートメーション(=RPA)という技術に注目されるようになりました。その理由には大きく2点が挙げられます。
①とてもわかりやすいこと ・・・ ノーコードレスで非IT層に取っ組み易い
②即効性に秀でていること ・・・ コストやミスを大幅に削減しやすい
の2点です。
ということは裏を返すと、ホワイトカラーの働き方の改革の即効薬として注目を浴びています。と同時に、RPAはAI並びにIoTが普遍的なITワードになっているように、今やわかりやすさ、即効性などから大ブームを起こしています。
また、RPAにはAI技術が導入されていて、人間しかできないこと(アドホック)を除いて、定型処理型に適用されています。つまり、ルーチンワーク業務に最適です。例えば、下記の例です。
【 単純業務(定型業務) 】
ただ狭義ではルールエンジンで稼働するも、AIは内包していないと解釈して整理すると理解しやすいと思います。
RPAルール分野においては、NTTグループが開発したWinActor/WinDirectorが人気ナンバー1の評価を得ていますし、他、約6000社以上の法人が導入して活発化しています。
【 自動化の動向とその効果 】
ある電気店がエアコン工事を受けたと想定します。受注するとまずエアコン工事依頼を管理する「管理簿」から工事作業者に「作業先指示書」を渡すことになります。このプロセスをRPAに置き換えますと以下のようになると思われます。
プロセス-1)「管理簿」から氏名、電話番号をコピーして指示書に貼り付けます。いわば、転記をすることになります。
プロセス-2)何らかの地図ソフトを起動させて住所で検索します。その結果、地図を適当な大きさに拡大して範囲を指定します。該当箇所を画像形式に変換させて指示書に貼り付けます。
プロセス-3)指示書のファイル名として管理簿の受付番号を設定して保存します。
プロセス-4)この一連の流れを定型作業として、管理簿に記載された受注件数の分だけ繰り返して処理します。
このようにRPAを利用しますと、RPAの速度は人間のパソコン操作速度の概ね3倍となります。つまり、1日8時間働く部分がRPAでは3倍の24時間働くことが出来ます。ということは、RPAは人間の3倍の速度で3倍の時間働くことになります。
⇒ 生産性は人間の9倍、すなわち、ホワイトカラー9人分の働きを行うという計算!
このことはホワイトカラーの役割も変わってきます。RPAのメンテナンス、アドホック的な業務の遂行といったRPAが不得手な分野に変遷していくのではないかと考えられます。
【 EXCELマクロとの違い 】
本質的には違いはないといえますが、敢えてEXCELマクロとの違い3点ピックアップします。
●ノンプログラミングのため誰でも「ロボットの動作ルール(シナリオ)」容易に作成することが出来ること
●作成したシナリオが極めて理解しやすいため、ブラックボックス化しにくいこと
●ERP(=Enterprise Resources Planning の略)やWEBを含む業務アプリケーションの自動化が容易であること
【 考察 】
なぜ、これほどRPAが注目されるのでしょうか?
少子高齢化に伴う労働人口の減少、働き方改革のニーズの高まりなどの社会的背景はもちろんのこと、そのほかの理由も考えられます。そこで、3つのポイントをピックアップしてみます。
「RPAという概念自体」・・・あなたの作業に無駄があるのではないか、もっと効率化出来るのではないかと 問われたとします。大概に人は無駄なんてないと反論すると思います。そこで、「ロボットに作業を依頼 したいか」と問われれば、「ロボットがやってくれるなら助かるな。あれをやらずに済むなら嬉しいな」と いうように改善点が浮かんで来るのでは内でしょうか?
「RPAは非IT部門でも容易に構築できること」・・・今まではIT関連の仕事はIT部門に依頼を要請していた
時代から非IT部門でも要請することなく自分たちで業務改善を遂行することができるため、容易に
業務システムを構築することが出来るメリットを享受、これは大きな効果が波及します。
「RPAは第四次産業革命の到来(AIによる業務の完全自動化)」・・・今や、AI(人工知能)、
IoT(モノのインターネット)、RPA等の技術の発展・活用が進んでいて、第四次産業革命の
真っ只の中と言われています。特にRPAはAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)に
比べてわかりやすくROIにおいても評価しやすいため、非常に急速に進行しているといえます。