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車のナンバーを希望するナンバーに申請依頼を受け付けた場合、以下のような流れが一般的です。
① お客様(ディーラーなど)から案件を受注。申請する希望ナンバーや自動車の情報を受け取る。
② その内容をもとに、「希望番号申込サービス」のサイトから希望ナンバーの申請(WEB申請)を行う。
③ 1件ごとに登録料金を支払う。
④ 支払い後に届く「入金確認メール」をチェックし、「交付可能期間」など必要な情報を確認する。
⑤ お客様に報告を行う。
上記の手順の中でも、②のWEB申請は、プルダウンメニュー等より該当する選択肢をただ選んでいくだけの非常に単純な作業です。
また、④については入金確認メールが随時送信されてきますので、定期的にチェックする必要があります。
RPAによる自動化後の作業概要
この「自動車希望ナンバー申請」業務に対して、どのようにRPAを活用していくのかを説明します。
この流れの中で、RPAを活用するのは、
★ ②のweb申請作業
★ ④の「入金確認メール」の確認&期限管理
の2行程です。それぞれ別々のシナリオを組んで自動化を進めます。すなわち、作成するロボットは2つとなります。
では、順を追ってRPAによる自動化の行程を見ていきます。そこで、まず最初は希望ナンバーの申請作業から始めます。
[自動化行程-1] 必要な情報の参照元となるデータの準備
RPAが作業をする際には、必要な情報の参照元となるデータが必要となります。通常はExcelファイルです。この業務を受注する場合、そもそもお客様(ディーラーなど)からExcelファイル等で情報を受け取るケースが多いと思われます。仮に、そうであれば、そのファイルをそのまま使うことが可能となります。仮に、手書き等で受け取る場合は、Excelファイルに一覧として以下のように整理しておきます。
[自動化行程-2]RPAで一つ目のシナリオを組む−希望ナンバー申請ロボット−
参照元のExcelファイルの準備ができ次第、次にRPAでレシピ(シナリオ)を組んでいきます。シナリオは以下のようになります。
① 「希望番号申込サービス」のサイトを開く。
② 使用地域や車種・用途など、画面上の選択項目について、参照元ファイルに沿って選択をし、次ページに進む。
③ 希望ナンバーを入力し、次ページでは支払方法を選択して進む。
④ 申請が成功すると受付番号が表示されるため、管理用Excelファイルに転記する。不備等で申請失敗の場合は、その旨をもファイルに記載する。
これで、希望ナンバーの申請作業は完了です。続いて、登録料金の支払いが必要となります。こちらは振込など人手で行う行程で、支払いが完了しましたら、「入金確認メール」のチェック工程に移りますが、そこはRPAで自動化が可能であるため、2つ目のシナリオを組みます。
[自動化行程-3] RPAで2つ目のシナリオを組む−メール確認&期限管理ロボット−
RPAロボットは、指示されたタイミングで繰り返しメールをチェックすることも可能です。ここでは、以下のようなシナリオを組みます。
① 定期的なタイミングで、メールソフトの受信箱を開く。(平日毎朝8:00など、都合の良いタイミングを指定)
② 「入金確認メール」が届いているかをチェック。
③ 「入金確認メール」が届いていた場合は、 メール内に記載されている「交付可能期間」を管理用Excelに転記する。
上記のようなシナリオがあれば、指示通りのタイミングで、抜けることなく自動的にロボットがメールをチェックしてくれる、というわけです。
[自動化行程-4]管理用Excelファイルに対するチェック
2つのRPAロボットによって入力された管理用Excelファイルを最終的に人がチェックします。特に、申請が失敗しているケースについては、情報の不備などを確認し、正しい情報に直して再申請するなど、人手で対応します。
自動化の行程としては以上です。このように、一度このシナリオを組んでおくことによって、また次回、自動車希望ナンバー申請の依頼を受けても、参照元となるExcelファイルさえ新たに準備できれば、申請やメールチェックをRPAにお任せすることができます。
[RPA導入の効果やメリット]
RPAの導入により、どのような効果やメリットがあるのか、Before(導入前)→ After(導入後)というスタイルで整理してみます。
『Before(導入前)』
「自動車希望ナンバー申請」業務において、主な課題となる点は以下のとおりです。
課題① 単純な情報の転記(WEBサイト上での選択)を何度も繰り返さねばならない。
課題② 入力ミスは禁物だが、特に量が多いとミスも起こり得る。
課題③ 定期的なメールチェックが手間になる(アポイントとの兼ね合いや多忙な時期など)。
課題④ 単価が低いが、意外に細かな対応が必要で、コストパフォーマンスが悪い。
『After(導入後)』
RPA導入後の主なメリットをまとめると以下の通りです。
メリット① 単純な転記作業から解放される。
メリット② ミスを防げる。
メリット③ メールチェックを抜け漏れなく定期的に実行できる。
メリット④ 人手で行うのは、お客様とのやりとりや振込、最終チェック、不備対応のみとなり、単価に見合う労力で済む
メリット⑤ 削減できた時間を付加価値の高い業務に使うことができるため生産性の向上に繋がります。
ということで、導入前の課題を確実にクリアしています。
[まとめ]
この業務のように、低単価のものに何度も手を取られてしまうと、人間ですので、どうしてももどかしい気持ちになってしまいます。その点、ロボットに働いてもらえば、人もスッキリ気持ちよく業務に望むことができるのです。
『生産性向上』
生産性向上が最大の課題となっている今、ロボットにできることはロボットに任せ、人は人にしかできないこと(対話・発案・コンサルティング等)に注力することがポイントとなります。ということは、今後はますますクライアントとの関係性が深めてていくことが肝要となっていきます。