生産者側の視点で生産品やサービスを造り世の出す考え方がプロダクトアウトといいます。そこで日本の歴史を考察することがポイントです。その理由は長い間アナログ世界が民衆の中に浸透していたことが最重要課題です。アナログの世界では技術を極めることに切磋琢磨して製品を作り出していきます。こうなれば、簡単にはコピペが出来ません。想像してみて下さい。
例えば、葛飾北斎が描いた富士山を描いた葛飾北斎の冨嶽三十六景の中でも人気の高い「神奈川沖浪裏」をコピペが出来ますでしょうか? このことがプロダクトアウトとして生き残る術です。
【図1:神奈川沖浪裏】
【図2:ユニバーサルスタジオジャパン】
現代では下記のような製品(サービス含む)がプロダクトアウトの成功例です。
【プロダクトアウト成功例】
●ソニーのウォ-クマン ・・・ ポータブルの音楽再生機能がほとんどない時期から小型化で幅広いユーザーを獲得する結果を得ました。
●アップル社のiPhone ・・・ iPhoneをはじめとしたApple社の製品はプロダクトアウトの代表的な例です。Apple社のように、他社が模倣出来ない製品を開発することで、市場を独占するケースがあります。
●ポケモンGo ・・・ アメリカのナイアンティック社が開発したゲームアプリで、現実世界を舞台にしているのが特徴です。
●LINE ・・・ 登場した頃はメールでが一般的で、他のツールでのコミュニケーションが殆どない時代。今では代表的な通信手段の1つとなっています。
●ユニバーサルスタジオジャパン(=USJ) ・・・ 快適感、満足感を特化した質のいいサービス提供
●カップヌードル ・・・ 販売してから48年がたちますが、現在での売り上げを伸ばしており、チキンラーメンやどん兵衛など定番の宝庫となっています。
●ポカリスエット ・・・ 40年経っていますが、安い飲料水が増えるなか、安易に安売りしないこと。
製品としてのコンセプト、品質、利用者の快適感、満足感などの要因が成功したものと考えられます。このような商品はあまり多くありません。筆者が思うにはプロダクトアウトの製品は自己満足の世界に浸っているのではないでしょうか? 例えば、時計の例でいいますと、セイコーとローレックスと比較すれば歴然としています。車でも同じことがいえます。また、新幹線でも海外に押されていて苦戦しています。利用する側のことが触れていません。農水産物でも同じ現象が生じています。現地現場に行って身をもって実体験することがますます重要となってきます。芸術の世界でも同様なことがいえます。プロダクトアウトの最大の課題は利用者にもたらす付加価値です。利用者にとっては計り知れないことに一刻も早く気づいて欲しいと思います。アナログ観における技術のみを追求したところで利用者の満足感、快適感等が得られないのです。着地点のみならずそれらを取り巻く諸々の要素を考える土壌が育っていないという日本の歴史文化がそうさせているのです。結局、自己満足の世界にとどまってしまうのです。これらをすべて脱却して新たな文化をデジタル化を核に迅速かつアグレッシブに構築することが肝要です。しかも時間がかかるのではないかと思いますが、突き進むしかないのです。
【まとめ】
プロダクトアウトとは、企業の技術や特徴を最大限に活かして企業が作りたい製品を開発することを意味しています。そのため、利用者側のニーズや市場の動きに合致しない可能性が出てきます。そのため、利用者側のニーズを基準とするマーケットインにすべきといわれることがありますが、プロダクトアウトのなかにはユーザーの潜在ニーズを満たした独自性の強い商品を開発しているケースが少なくありません。
次回はマーケティングインについて述べます。