マーケティングインということを聞いたことがありますか? プロダクトアウトと対比する考え方です。まず、マーケティングというのは何かをみていきましょう。多くの企業人を悩ませるビジネス用語の1つに、「マーケティング」があり、マーケティングは企業活動の基本中の基本でありながら、実は言葉の意味があいまいだったり、簡単に成功させることができない「企業の永遠のテーマ」のようなものです。さらに、マーケティングインという言葉があります。マーケティングインとは「市場や顧客の視点に立ち、商品やサービスの開発を行うこと」を意味します。つまり顧客のニーズに基づいて、ニーズを満たすような商品を開発・提供することを意味しています。一昔前の高度経済成長期では、新たな技術で目新しい商品やサービスを開発すれば売れるという考え(プロダクトアウト)でしたが、マーケティングインは、あらゆる情報や物であふれる現代だからこそ生まれた考え方といえます。端的に言うと、利用者側にどのような付加価値をもたらすか、あるいはメリットを産み出すかということが重要なポイントとなります。
つまり、コンセプトが非常に大事になってきます。私見ですが、日本では欧米に比べて劣っています。これは長くアナログ世界が続いていたためです。生産技術を高めてていくのも重要ですが、利用者側に立脚したマーケティングインの考え方とブランド確立を切に望みます。ブランドが成り立つためには、その製品名に一定の情報価値が投影される状態になること、消費者に認知され、競合製品と差別化されることが必要です。そして、このことは全てのジャンルに於ける生産物に対していえることなのです。工業品、農産物、芸術品、政官におけるアウトプット、サービスにおけるアウトプットなどを含めて全てをいいます。ここで注意すべき点は利用者のニーズには多種多様できりがありませんので、訴求に関するコンセプトをしっかり堅固なものにしておくことが肝要です。あれもこれもと悩まずに「これだ!」という具合に絞りに絞ったことを核に据えます。特にサービスにおけるアウトプットに磨きをかけて欲しいと思っています。
【着地点ポイントとそのコンセプト】
着地するその先に何があるかを可視化して、その上、具体的に「市場に対し創造的に適応するための目標」や「広告、宣伝、販売などあらゆるマーケティング活動の方向付け」といったものがマーケティング・コンセプトをしっかり打ち立てていきます。さらに、マーケティング・コンセプトは時代とともに常に変化していくものとして順応することも肝要です。
【付加価値】
例えば、「無洗米」という商品の付加価値について考えてみましょう。お米は、日本においては毎日の食卓に欠かせないものです。必需品であるため、購入してもらいやすい商品ではありますが、お米と一口にいっても、様々な種類・ブランドがあり、自社商品を買ってもらうためには何らかの工夫が必要です。
そこで、お米という商品に、「炊く前に洗う手間が省ける」という付加価値をつけたものが、無洗米です。この付加価値は、「お米を洗う手間を省きたい」という主婦のニーズに応えるもので、爆発的にヒットしました。
競争が激しい環境の中で企業が生き抜いていくためには、他の企業にはない「付加価値」を与えることが大切です。また、付加価値を提供することで消費者はロイヤルカスタマーとなり、生涯自社の顧客として売上に貢献してくれることになると思います。
しょう。
【利用者ニーズ】
人は日常生活や仕事をするうえで、「リッチな生活がしたい」「後輩に慕われる上司になりたい」などの理想があります。しかし、現実では「節約生活の毎日」「なかなか後輩と打ち解けられない」などのギャップがあるでしょう。利用者ニーズとはつまり、この理想と現実とのギャップを埋めたい「欲求」を指します。利用者ニーズを満たすということは、この欲求を満たすことを意味します。
例えば、ある顧客がパソコンの購入を検討しているとします。その場合、買うという手段である「パソコンが欲しい」という動機が「ウォンツ」となり、「仕事の効率を上げたい」などというパソコンを買う目的が「利用者ニーズ」となるのです。
利用者ニーズが「仕事の効率を上げたい」にも関わらず、「パソコンが欲しい=ニーズ」と捉えてしまうと、スペックが低い格安パソコンなど、ニーズと合わない商品を紹介してしまう恐れが考えられるでしょう。これで
は、利用者ニーズを満たすどころか、さらに理想からかけ離れてしまい、満足度は低下してしまうはずです。
もう1点注意することは利用者ニーズを多局面からみておくことが重要ですが、コンセプトとしっかり結びつけて描くことです。その裏付けとして技術力が重要となってきます。今後はますますデジタル化が推進されていくと予想できますため、さらにコンセプトは重要さを増していきます。困っていること、使い勝手の良さ及び利用範囲拡充、影響すること、感動を与えられることなどの要因をピックアップして構築することが肝要です。