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価値観がすごい勢いで多様化している今日では、ますますマーケティングにおける様々な戦略が考えられます。と同時に試行錯誤を幾度となく繰り返すことが最重要です。しかもスピード及びタイミングが大切です。従来型の日本的組織では対応仕切れない面が大いに出てきます。本稿では、「考えられる要因をもれなく・素早く・そして共有化するため」に使用されるフレームワークについて述べていこうと思いますし、参考になれば幸甚です。真の要因に迫るためには、考え方の根幹となる部分、すなわち、それらの部分を詳しく分析することが肝要です。
フレームワークには以下の3種類があります。
- 思考のフレームワーク
- 事象のフレームワーク
- マーケティングのフレームワーク
また、マーケティングにおける活用シーン、及び、対するフレームワークには以下のようなことが考えられます。
- 消費者の購買に至るプロセスを分析 ・・・ マーケティングファネル、AIDMA
- 自社の立ち位置を把握し、事業戦略を策定する ・・・ 3C分析、STP分析
- 商品やサービスのマーケティング戦略を策定する ・・・ 4P分析、4C分析
- 顧客分析 ・・・ RFT分析、コホート分析
- 問題解決 ・・・ なぜなぜ分析、ロジックツリー
- 自社に与える競争要因を分析 ・・・ 5F分析
- 強み・弱みを活かした戦略を策定 ・・・ SWOT分析
- 自社の外部環境を分析 ・・・ PEST分析
マーケティングフレームワークは、このように各活用シーンと組み合わせて使うことで最大限の効果を発揮することを添えておきます。
【思考のフレームワーク】
重複してしまいますが、フレームワークとは「考えられる要因をもれなく・素早く・そして共有化するため」に使用されます。詳しく分析するための、考え方の根幹となる部分に当たります。より要因を深く追求し、真の要因に迫るために用いられる、3つの代表的な手法をピックアップします。
MECE手法
「ミーシー」や「メーシー」などと呼ばれている手法です。Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭文字を取ったもので、ターゲットを分析する際などに用いられることが多く、漏れている層はないか、また重なっている箇所がないかを確認していきます。一部の重要な事象にとらわれるあまり、更に重要な事象を見逃してしまうようなことを防ぐことができます。
上の図のように女性のマーケティングをするうえで、ターゲットを主婦やOL、学生などのように分析します。しかし、これでは”主婦”と”OL”で重なる部分が存在していることや、フリーターなどの層が漏れている可能性があります。これをMECEで表現していくと、10代以下・20代……のように細分化され、どのターゲットにも漏れなく、ダブりなく表現することが可能になります。
5回のWHY手法
「なぜなぜ分析」とも言われているフレームワークです。自動車販売で有名なトヨタ自動車株式会社で用いられていることから、トヨタ式と呼ばれることもあります。ある問題に対してWHY=なぜ?を問いかけていき続け、より思考を深めていく手法です。
1度のなぜ?よりも2度3度…と繰り返し続けていくことで、考えられた要因を深く掘り下げていくことが可能になります。さらに、真の要因を掘り下げることができれば、再発防止や、具体的な解決策を提示することが可能となります。また、WHYツリー=なぜ?を追う手法としてHOWツリー=どのように?と掘り下げていく手段などもあります。
ロジックツリー手法
論理をツリー状に描きながら、1つの議題に対して考えられる現象をさらに展開していくフレームワークです。5回のWHYとMECEの複合技とも言えます。ロジックツリーの大きな長所として思考の過程を可視化、や共有化のしやすさが挙げられます。
客観性を持って取り組むことがポイントです。
【事象のフレームワーク】
ブレストだけでなく、現状について詳しく分析することはマーケティングにおいて必要不可欠です。現代社会で頻繁に用いられる手法をおさらいしていくことが肝要です。
3C分析
マーケティングインの考え方の1つで、Customer=市場・顧客、Company=自社、Competitor=他社の3視点から現状を分析していくフレームワークです。重要とされているのは自社としてではなく、第三者の視点に立って分析することと言われています。強みや弱み、ニーズなどをフラットな目線から捉えていくことがキーポイントとなります。
4C分析
Customer Value=顧客価値、Cost=顧客の費用・負担、Convenience…顧客の利便性、Communication=顧客対話という4つのCを分析する手法です。3Cよりもさらに顧客の視点で考えていくことが求められ、顧客のニーズをより深く分析することで、今後のマーケティングに向けて良い立案がしやすくなり
SWOT分析
内的環境の要因である自社の強み=S・弱みの部分=W、そして外的な環境要因である機会=O・脅威=Tに分けて分析していくフレームワークです。4つを表に書き出していき、自社の事業分析はもとより、ビジネスにおけるチャンスを考えていくことができます。STF(成功要因)をとらえていき、今後の視点を考えていくことがSWOT分析の特徴といえます。
【マーケティングのフレームワーク】
STP分析
マーケティングにおける基礎的な考え方とされているフレームワークの1つです。ターゲットを選定し、顧客の利益を考察していく考え方とされています。Segmentation(セグメンテーション)→Targeting(ターゲッティング)→Positioning(ポジショニング)というステップを踏んで戦略を考えていくことから、その頭文字を取り、STP戦略と呼ばれています。強みを生かしつつ、より効果的に市場へ参入していくために必要なフレームワークといわれています。
PEST分析
政治=Politics、経済=Economy、社会=Society、技術=Technologyの外的環境から分析していくフレームワークです。よりマクロな視点から外的要因を追求ていくことで業界的な要因をもれなく把握するために効果的な分析方法といえます。
4P分析
4Pとは、商品=Product、価格=Price、流通=Place、販促=Promotion。4Cとは異なり、プロダクトアウトの視点からマーケティングを立案する考え方です。顧客側だけでなく、企業側の視点に立ち返って判断基準で考察していくこともマーケティングにおいては不可欠といえます。
また、4Cと一緒に考えることで、マーケティングイン/プロダクトアウトの両視点から分析が行えるため、結果に厚みが生まれる相乗効果があります。
まとめ
フレームワークに関する3種類
- 思考のフレームワーク
- 事象のフレームワーク
- マーケティングのフレームワーク
のそれぞれの案をより深く掘り下げていくことは、良い企画・プロジェクトを進行していくのに必要不可欠です。しかし、フレームワークを活用し、考えただけで物事が前に進むわけではありません。フレームワークを活用し、考え、整理した内容から具体的な解決策を見出し、スピード感をもって、Plan(計画)を立て、Do(実行)し、それに対してCheck(評価)をする。そしてAction(改善)していくという過程をまとめたフレームワークがこのPDCAといわれています。このPDCAサイクルをスピード感をもって回しながら実行することが最重要となります。より良い立案をしていくために、ぜひこれらのフレームワークを活用していかれることを試行錯誤を重ねながら望みます。