様々な意見や考えがあるとは思いますが、結論からいいますと、ITに関する動機が強くなかったという要因が起因していると痛感します。
必要に迫られて
例えば、こんな話があるのはご存知でしょうか? ロシア人のITエンジニアから聞いた話ですが、ロシアは広大な国であるため、住民票等の個人情報を物理的に遣り取りをすることが極めて困難であったため、50年以上前から既に電子化が行われていたとのことです。
同じように、アメリカでは新聞を届けられない区域があったため、これを解決する手段として「新聞の電子化」を図り配達を可能にさせました。そのため、ビジネスチャンスが生まれて直結するという動機が発生しました。ところが日本では全国津々浦々配達が可能であったため、このような動機が生まれませんでした。また、日本の言語や文化が世界的にみても特殊であることも関係していると思われます。日本はやや論理性に欠け、情で成り立っている国民性であることにも大いに関係しているのでは・・・。聞くところによりますと、クックパッド、或いは、メルカリなどが海外進出に苦戦を強いられているようです。日本でヒットしたサービスが海外ではヒットしないという説があります。つまり、世界で大きく稼げる商品やサービスが産出されてこなかったことが、ITが盛り上がらない理由の一つでもあると痛切に感じます。
勤勉である国民性及び内需の強さとの関係もあると思います。何はともあれ、日本は内需が強いため、国内向けに商売をしておればそこそこやっていけます。そのため、わざわざ海外向けのサービスを展開する必要性がありません。従ってITを駆使することもなく旧態依然のやり方で商売は成り立っているわけです。
また、最近の10万円給付の件でシステムが機能しなかった自治体が人的パワーで対応しているさまをみると、日本はバブル以降にIT後進国になってしまったと痛烈に思います。そこには、IT部門の人たちが、趣味の延長でコンピュータをいじっており経営層と話が通じにくかったのも遠因になっているかもしれません。先進国の中でも特に高齢化社会が進んでいるので、保守的思考は深刻です。新しいことを理解できないのは、説明する人間の怠慢だと信じています。定年まで波風を立てないようにします。出向先の子会社が決まるのを窓際で待っています。
日本人は保守的気質を強く持ち、革新性が重要なITとは相性が非常に悪いため
IT(情報技術)は、「この面倒くさいルーチン作業を、何とか自動化できないかな?」「こういう新しいシステムがあれば、世界の常識が一新されるに違いない!」「古くさい管理システムを刷新して、手間をはぶこう」といった考えや動機が進化の原動力になります。
ITを進化させるためにはこれまでの常識を打ち破ろうとする大胆さや、多少の失敗をともなう試行錯誤が不可欠です。しかし、日本人は保守的気質を強くもっているため、変化や失敗を嫌い、ITを毛嫌いすることが非常に多くなります。前例のないことを強調する風習が根強く残っています。
一言で言えば、目で見て確かめる文化だからです。モノ造りで成果が上がったのは、目で見える製品だからです。目に見えるものは共有が容易であるため、10人の凡人が1人の天才に勝ります。
一方、ソフトウェアは目で見ることができません。目で見えないモノは共有するとなると非常な困難が伴います。この分野では、10人どころか、100人の凡人が集まっても、1人の天才に太刀打できません。頭の中身は共有できませんから。あなたが想像力豊かな人であれば、それを言葉で伝える限界も知っているはずです。
アメリカには天才を見出し、天才を育てるためのプログラムが存在します。日本は天才を凡人に合わせ、時に迫害する教育をしています。つまり、「出る杭は打たれる。」という方向性は2023年の現在でも変わっていません。非常に憂うべき事態だと考えます。よく言われることは、「不平等も平等なり!」という諺があります。人それぞれ個性があります。これらの点をかみしめる必要があります。 → その2に続きます。